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【コラム】公的医療保険制度とは?自己負担割合や給付制度、種類をご紹介

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2022.11.24

私たちが病気やケガで病院を受診するときに、健康保険証を提示すればその医療費の3割負担などで治療を受けることができます。

この仕組みを「公的医療保険制度」と呼びますが、詳細について理解できていない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、公的医療保険制度の種類や仕組みについて分かりやすくご紹介します。

公的医療保険制度とは

日本国民全てに加入が義務づけられている医療保険制度のことで、1961年に開始されました。

この制度のおかげで保険適用範囲の治療の場合、私たちがどの医療機関を受診しても保険証を提示すれば、少ない負担額で質の高い医療を受けられています。

なお日本では、自由に医療機関や医師を選ぶことも可能です。しかし海外では国によって医療機関が指定されている他、かかりつけ医を受診する必要があります。

公的医療保険制度の自己負担割合はどのくらい?

医療費の自己負担割合とは、公的医療保険制度の加入者が病気やケガで医療機関を受診したときに、本来かかった医療費がその制度によって割り引かれ、その受診者が実際に支払う医療費の割合のことです。

医療費の自己負担割合は、年齢によって下記の通り異なります。(※1)

 

  • 0~6歳未満(義務教育就学前):2割負担
  • 6(義務教育就学後)~満69歳:3割負担
  • 満70~満74歳:2割負担
    ※ただし、現役並みの所得がある(課税所得145万円以上)方は3割負担
  • 満75歳以上:1割負担
    ※ただし、現役並みの所得がある(課税所得145万円以上)方は3割負担
    ※課税所得が年間28万円以上(年収200万円以上)の世帯は、窓口負担が2割

このように私たちは、本来の医療費よりも安く、医療機関から治療を受けることができています。

なお医療費の残り7割は、国民や企業、自治体から集めた保険料や負担金から医療機関に支払われています。

公的医療保険の種類について

公的医療保険制度は、国民全員が加入しているため、会社員の扶養になっている妻や子どもも保険料を負担していませんが、制度の対象となります。

なお公的医療保険制度は職業や勤務先によって種類が異なり、以下の4種類が用意されています。

国民健康保険

都道府県が市区町村とともに運営しています。

加入対象者は他の医療保険制度(被用者保険、後期高齢者医療制度)に加入されていない方であり、自営業や専業主婦(被用者の配偶者を除く)、年金生活者、フリーランスなど特定の企業に属さない方が挙げられます。

国民健康保険には「扶養」という概念がないため、自営業者とその自営業者の所得で生計を一にしている配偶者や子どもは、それぞれが加入者かつ被保険者となります。

被用者保険

国や地方公共団体、法人などに雇われる従業員や、その扶養家族が加入する公的医療保険で、以下のように分けられます。

 

  • 組合管掌健康保険(健保組合):主に大企業や同種・同業種の企業が集まって組織された健康保険
  • 全国健康保険協会(協会けんぽ):主に中小企業の従業員とその扶養家族を対象とした健康保険
  • 共済組合:国家公務員、地方公務員、私立学校の教職員を対象とした健康保険
  • 船員保険:船員を対象とした健康保険(2010年から全国健康保険協会が運営)。大企業が単独で設立

また一定の加入条件がありますが、健康保険は被用者と生計を一にする扶養家族(配偶者や親、子など)の加入も可能です。

後期高齢者医療制度

原則75歳以上の方が加入する制度ですが、一定の障がいを持つ65歳以上の方も本人が希望すれば本制度に加入できます。

自己負担割合は1割ですが、現役並みの所得(年間の課税所得が145万円以上・年収383万円以上)がある世帯の自己負担割合は3割です。

また、課税所得が年間28万円以上(年収200万円以上)の世帯は、窓口負担が2割です。(※2)(※3)

公的医療保険制度の給付制度

公的医療保険制度には、下記の通りさまざまな給付制度が設けられています。(※4)

1.療養の給付

病気やケガにより、医療機関で診察・薬剤投与・処置・手術などの治療を受けた場合に適用される給付制度です。医療機関の窓口で保険証を提示すれば、自己負担分のみの支払いで診療を受けることができます。

2.入院時食事療養費

公的医療保険の被保険者が病気やケガで入院したときに、食事の給付を受けることができます。被保険者の負担額は1日3食を限度に1食あたり460円です。(市町村民税非課税者の場合は100~210円)

3.入院時生活療養費

65歳以上の被保険者が長期入院などのために「療養病床」に入院する場合の、生活療養にかかる費用(食事療養並びに温度、照明及び給水に関する適切な療養環境の形成)を対象とした給付制度です。生活療養標準負担額は、1食につき460円+370円(居住費) です。(市町村民税非課税者の場合は食費130~210円+居住費370円・老齢福祉年金受給者の場合は食費100円+居住費0円)

4.高額療養費

同一月の医療費が一定水準に達した場合、それを超えた分を払い戻す給付制度です。

高額療養費制度を利用する方法には、事後申請以外にも、「限度額適用認定証」を用いることによる事前手続きがあります。なおマイナンバーカードの健康保険証の利用ができる医療機関では、手続きは必要ありません。

月々の自己負担限度額は、被保険者の所得や年齢によって区分されているなど注意点もあるため、あらかじめ自身の自己負担限度額を健康保険組合に確認しておくと良いでしょう。

5.傷病手当金(※国民健康保険は対象外)

被保険者が同一の病気やケガで仕事を休まざるを得ず、かつ事業主から十分な報酬を受け取ることができない場合に、給付金が支給される制度です。

病気・ケガによって連続して3日以上働けなくなった場合に適用され、4日目以降から、休業日に対する給付金が支給開始から1年6ヵ月を経過する時点まで支給されます。

1日あたりの給付金額は、「支給開始日直近12カ月間の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3に相当する金額(休業した日単位で支給)」で計算されます。(※5)

6.出産育児一時金

被保険者もしくはその被扶養者が妊娠85日(4カ月)以降に出産した場合、給付金が支給される制度です。

一児につき42万円(妊娠週数が22週に達していないなど、産科医療補償制度の対象でない出産の場合は40.4万円)が出産育児一時金として支給されます。

7.出産手当金(※国民健康保険は対象外)

被保険者が出産のために会社を休んだ際、その間給与が支払われない場合に給付金が支払われる制度です。

給付の対象は、出産の日以前42日目~出産日の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間です。

1日あたりの給付金額は、「支給開始日直近12カ月間の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3に相当する金額 」で計算されます。

8.埋葬料(※国民健康保険は「葬祭費」)

被保険者が死亡したとき、埋葬を行う方に対して葬儀にかかった費用の一部が支給される制度です。

被用者保険においては、定額5万円の埋葬料が支給されます。これに対して国民健康保険や後期高齢者医療制度は、条例や規約で定められた額が支給されます。多くの市町村、後期高齢者医療広域連合で実施され、一般的に給付額は1~5万円です。

なお社会保険(協会けんぽ等)は埋葬料(埋葬費)の名称で、これに対して国保では葬祭費という名称で支給されます。

公的医療保険で対象になる手術は?

基本的に、公的医療保険制度における「医科診療報酬点数表」に「手術料」の算定対象として列挙されている手術は全て対象となります。

具体的には創傷処理や緑内障手術、虫垂切除術などです。(※6)

公的医療保険制度対象外となる手術

公的医療保険は、病気・ケガなどに対する医療費をカバーすることを目的としているため、美容目的の整形手術などは対象外です。

また先進医療の技術料も公的医療保険の対象外のため、全額自己負担になります。 ただし、先進医療の内容は随時見直しが行われています。

有効性や安全性が確認され公的医療保険の適用になった技術や、さまざまな要因により保険診療への導入には適さないと指定された場合は、先進医療から削除されています。

まとめ

日本の公的医療保険制度は国民全員が加入しています。しかし、加入先によって受けられる給付が異なるほか、適用範囲が設けられているため、保険診療とはならない治療もあります。

公的医療保険制度は私たちが病気やケガなどで困ったときに経済的支えになる制度のため、いざというときに適切に利用できるよう、加入している保険組合の内容を確認しておくことをおすすめします。

また、もしものときの備えが不十分と感じられる場合は、民間の医療保険への加入の検討をしてみてはいかがでしょうか。

 

→YouTubeでも「公的医療保険」の解説動画を配信しています!詳しくはこちら

出典

※1 「医療費の自己負担」(厚生労働省)(2022年10月14日に利用)

※2 「(1) 後期高齢者の窓口負担割合の見直しについて(概要)」(厚生労働省)厚生労働省(2022年10月14日に利用)

※3 「医療保険制度の体系」(厚生労働省)(2022年10月14日に利用)

※4 「公的医療保険の給付内容」(厚生労働省)(2022年10月19日に利用)

※5 「傷病手当金について」(厚生労働省)(2022年10月19日に利用)

※6 「医科診療報酬点数表」(厚生労働省)(2022年10月19日に利用)