【コラム】生命保険の掛け捨て型・貯蓄型の違いやメリット・デメリットを徹底解説!
いざ生命保険に加入しようと思って調べてみても、種類が豊富過ぎて、どんな保険を選んだらいいのかわからず困ってしまったことはありませんか?
そんなときは、掛け捨て型の保険と貯蓄型の保険、どちらにするのかから考えてみるのも良いかもしれません。そのためには、それらがどう違うのか理解しておくことが大事です。そこで今回は、掛け捨て型の保険と貯蓄型の保険についてご紹介します。それぞれの保険の種類や、メリット・デメリットを確認していきましょう。
掛け捨て型保険とは?
掛け捨て型保険は、比較的安い保険料で保障を受けられるのが特徴の保険です。一方で、満期金や解約返戻金(保険を解約したときに戻ってくるお金)は無く、解約返戻金があったとしても少額であるため、貯蓄性はありません。
掛け捨て型保険には、保険期間を一定期間に設定した定期タイプの保険が多く、収入保障保険や定期タイプのがん保険・医療保険などがあります。
掛け捨て型保険には、主に次の4種類があります。
- 定期保険
- 収入保障保険
- 医療保険
- がん保険
1.定期保険
定期保険は、一定期間の契約により保障が受けられる保険です。被保険者が死亡した際に死亡保険金が支払われるほか、高度障害になった際に高度障害保険金が支払われる保険もあります。
保険期間は年数で決める年満了タイプと、満了時の年齢で決める歳満了タイプがあります。
年満了タイプの定期保険は、契約満了時に更新できる保険も多いものの、更新時の年齢で保険料が再計算されるため、ほとんどの場合で保険料は上がります。
歳満了タイプの定期保険では、保険期間が満了すると更新はされず契約が終了となるため、全期型とも呼ばれます。
2.収入保障保険
被保険者が死亡または高度障害状態になった場合に、遺族が保険期間満了時まで保険金を受け取れる保険が収入保障保険です。
特徴は、保険期間の経過とともに、保険金の総受取金額が下がる点です。また、保険金は毎月年金形式で受け取る方法と一括給付が選べます。一括給付の方が、年金形式よりも総受取金額は少なくなります。
3.医療保険
医療保険は、病気やケガによる入院や手術、通院に備えるための保険です。
保障の基本は入院給付金と手術給付金ですが、ほかにも通院保障やがん、生活習慣病、女性特有の病気、先進医療保障など、保険商品によってさまざまな特約を付加できます。
4.がん保険
がん(悪性新生物・上皮内新生物)の保障に特化した医療保険をがん保険と呼びます。がんへの保障は医療保険に含まれている場合もありますが、がん保険の主な保障内容は、がんと診断されたときの診断給付金や入院給付金、手術給付金、通院給付金です。
掛け捨て型保険のメリット
掛け捨て型保険には、次のメリットがあります。
- 保険料が安い
- ライフステージに合わせて保険の見直しがしやすい
1.保険料が安い
掛け捨て型保険は、貯蓄型保険と比較して保険料が安く設定されています。保険料負担を抑えつつ、一定期間の保障を用意したい人におすすめです。
2.ライフステージに合わせて保険の見直しがしやすい
掛け捨て型保険は、解約返戻金や満期金がないかあっても少額であるため、自分のライフステージの変化に合わせて保険の見直しがしやすく、必要な保障内容を準備することが可能です。
掛け捨て型保険のデメリット
メリットがある一方、掛け捨て型保険には次のデメリットがあります。
- 貯蓄性はほとんどない
- 一定期間で保障が終了することがある
1.貯蓄性はほとんどない
掛け捨て型保険は、保険期間中に万が一の事態が起きなければ保険金が支払われることはなく、解約をしたとしても返戻金はほとんどありません。
しかし月々の保険料を抑えられるため、その分は貯蓄することも可能です。加えて万が一の際には、大きな保障が得られる安心感があるでしょう。
2.一定期間で保障が終了することがある
保険期間が満了した際には、更新するか、他の保険に切り替えるかを選択しなければなりません。
更新する場合や新たに保険加入をする場合は、その時点での年齢で保険料が決められるため、結果として保険料が上がることになります。高齢になるほど収入は減るのに、保険料は上がるという現象が起きやすくなるため、注意が必要です。
また新たに保険加入をする場合、再度健康状態の告知が必要になるため、状況によって加入できない可能性があります。
掛け捨て型保険には終身保障の保険もあるため、どの保険を選ぶのか慎重に検討しましょう。
貯蓄型保険とは?
貯蓄型保険は生命保険としての保障を備える一方で、一定の条件を満たしたときや、解約した時などに解約返戻金があるため、保障と貯蓄の両方を兼ね備えていることが特徴の保険です。
一方で、掛け捨て型保険と比べると、保険料が高くなる傾向にあります。なお解約返戻金は解約する時期によって、支払った保険料を下回る可能性があるため注意が必要です。
貯蓄型保険には、主に次の4種類があります。
- 終身保険
- 養老保険
- 学資保険
- 個人年金保険
1.終身保険
終身保険は、被保険者が死亡または高度障害状態になった場合に死亡保険金または高度障害保険金が支払われる死亡保険で、保障が一生涯続くのが特徴です。
終身保険の保険料は、加入時の被保険者の年齢と保険料率で計算され、契約後は変動しません。一般的には若い人ほど保険料は安くなりますが、掛け捨て型と比較して保険料は高めです。※年齢によって異なる。
保険料を支払う期間は一生涯支払い続ける終身払いと、一定の年齢や期間までに支払い終える短期払いから選択できます。被保険者が死亡する前に解約した場合、保険料の払込期間や、払込額に応じて解約返戻金を受け取れる可能性があります。
ただし契約後短期間で解約した場合は、解約返戻金がない、もしくはあってもごく僅かである点には注意が必要です。
2.養老保険
被保険者が生存したまま満了を迎えた場合には満期保険金、保険期間中に死亡した場合には死亡保険金を受け取れるのが養老保険です。高度障害になった場合に、高度障害保険金が支払われる保険もあります。
保険期間は、契約からの年数、または特定の年齢までで決められるタイプがあり、契約期間が満了した時点で保障がなくなります。
契約期間中は死亡に備えつつ、満期を迎えられたら老後資金や孫の教育資金に充てられるなど、将来の備えがしっかりできる点が特徴です。
3.学資保険
学資保険は、子どもの教育資金に活用できる保険です。契約時に満期年齢を決め、満期年齢になったら満期保険金(学資保険金)を受け取れます。契約者が死亡、または所定の高度障害状態になった場合に、その後の保険料が免除されるタイプもあります。
大学進学の入学金を目的とした場合、18歳満期タイプなど必要なタイミングで満期を迎えるように設定することが多いです(18歳満期とは18歳になってから迎える契約日前日を指します)。
誕生日と契約日の関係によっては、子どもが大学に進学してから満期を迎える場合もあるため注意しましょう。
4.個人年金保険
個人年金保険とは、主に老後資金を計画的に準備する保険です。
契約時に年齢と受給期間を設定して保険料を払い込み、設定年齢に達した時点で受給期間と保険料に応じた年金を受け取れます。公的年金の補填を目的として加入することが一般的です。
個人年金保険は、年金を受け取る期間によって終身年金、有期年金、確定年金の3種類に分かれ、それぞれに次のような特徴があります。
- 終身年金:被保険者が生存している限り年金を受け取れる個人年金保険
- 有期年金:設定した受取期間内に被保険者が死亡すると、支払いがなくなる個人年金保険
- 確定年金:受取期間内に被保険者が死亡しても、受取人が年金を受け取れる個人年金保険
貯蓄型保険のメリット
貯蓄型保険には、次のようなメリットがあります。
- 解約返戻金を受け取れる
- 資産形成に活用できる
- 契約者貸付制度が利用できる
1.解約返戻金を受け取れる
貯蓄型保険を途中解約した場合、ほとんどの場合で一部積み立てられていた解約返戻金が支払われます。
養老保険のように、満期時に死亡保険金の代わりに満期返戻金が支払われる保険もあります。
ただし、一定期間を経過せずに解約した場合、返戻金が払込保険料の総額を下回ることもあるため注意が必要です。
2.資産形成に活用できる
満期や解約のタイミングまで保険料を積み立てていき、満期保険金や解約返戻金を受け取れます。
代表的な資産形成の手段としては、終身保険や個人年金保険などを外貨建て保険や変額保険で加入する方法が挙げられます。ただ、この2つに関しては、リスクがあるためよく検討すべきです。
外貨建保険は日本金利より高い外国の金利を利用して、運用していきます。予定利率が高いので、貯蓄性で優れていますが、為替変動リスクがあります。
変額保険は、保険料を保険会社が債権や株式を中心に運用した結果によって、死亡保険金や解約返戻金、満期保険金が変動する保険です。運用の成果で損失がある場合がありますが、死亡保険金に最低保障があります。
景気が良く、株式相場が上昇すれば、株式で運用する変額保険の保険金額などが増える可能性がある点はメリットといえるでしょう。
3.契約者貸付制度が利用できる
貯蓄型保険では、保険料の自動振替貸付や、契約者貸付などの貸付制度が利用できます。
- 自動振替貸付:保険料の支払いが滞った場合、保険の解約返戻金の範囲内で保険料を立て替える制度
- 契約者貸付:解約返戻金から一定範囲内の金額を借りられる制度
自動振替貸付を利用したとしても、解約返戻金以上に保険料支払いが滞ってしまうと、当然契約が失効する可能性があります。支払いの確認は必ず行うようにしましょう。
また、契約者貸付では保険会社が定める利息が発生します。利息分の支払いがあることで、受け取り総額が想定よりも少なくなるため、制度を理解した上で計画的に利用しましょう。
契約者貸付制度が利用できるかは保険商品によって異なるため、事前の確認が必要です。
貯蓄型保険のデメリット
貯蓄型保険にはメリットが多いものの、デメリットについても把握しておかなければいけません。
- 保険料が高い
- 短期で早期解約すると元本割れを起こす
- インフレリスクが伴う
- 金融類似商品に該当すると課税額が高くなる可能性がある
1.保険料が高い
同じ保険金額と年齢、保険料の支払い方法で比較した場合、貯蓄型保険の保険料は掛け捨て型保険より高いです。そして保障内容が充実するほど、保険料は高額になります。
保険料の負担を軽減したい場合は、保障内容を見直すか、掛け捨て型保険を検討しましょう。
2.短期で早期解約すると元本割れを起こす
契約から解約までの期間が短い場合、解約返戻金は払込保険料の総額を大きく下回る可能性があります。また、場合によっては解約返戻金が出ないケースもあります。
そのため、貯蓄型保険に加入する場合は、計画的に無理のない保険料で検討しましょう。
3.インフレリスクが伴う
将来受け取れる金額が決まっている固定金利タイプの貯蓄型保険に加入した場合、将来的なインフレによって資産価値が下がる可能性があります。インフレとは、物価が上昇してお金の価値が下がることです。
貯蓄型保険のなかには外貨建てタイプや変額タイプなど、インフレリスクに強い商品もあるため、比較して選びましょう。
4.金融類似商品に該当すると課税額が高くなる可能性がある
金融類似商品とは、利息に相当する部分が利子所得以外の所得に該当する商品のことを指します。
金融類似商品には、満期時の受取金額と払込保険料との差益に対し20.315%の源泉分離課税がかかります。
※平成49年12月31日まで復興特別所得税0.315%が課税されます。
金融類似商品は、5年以内に満期になる一時払養老保険などが該当します。
また、5年を超える契約でも、養老保険、変額保険(有期型)、個人年金保険や変額個人年金保険(いずれも確定年金の場合)を契約から5年以内に解約した場合には、金融類似商品と同様の取り扱いとなる為注意が必要です。
※主に一時払い保険の様に短期間で総額保険料払込む保険が該当します。
まとめ
掛け捨て型保険と貯蓄型保険の特徴は大きく異なります。
掛け捨て型保険は、保険料を安くしつつ保障を充実させたい人におすすめです。
掛け捨て型保険には貯蓄性がほとんどありません。しかし、月の支出が増える傾向にある子育て世代や養育すべき家族がいる人には、負担が少なく大きな保障が得られる点はメリットといえます。
一方貯蓄型保険は、万が一の事態に備えながら資産形成をしたい人に向いているでしょう。ただし、途中解約すると返戻金が少なくなる可能性があるため、長期間継続して契約できるかを想定した上で契約する必要があります。
保険にはさまざまな種類と、それぞれにメリット・デメリットがあるため、どの保険に加入するかは自身のライフプランを立てながら検討しましょう。