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【コラム】損害保険とは?仕組みや種類、生命保険との違いなどをわかりやすく紹介

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2023.01.12

自動車事故による車の破損、火災や地震による建物の被害などを補償する、損害保険。対象やリスクの種類が幅広くあり、時代によってもさまざまなニーズが生まれていることから、各社が販売する損害保険の種類も非常に多いという特徴があります。

今回は、損害保険の役割や種類、生命保険との違いなどを解説していきます。

損害保険とは

損害保険は、「偶発」「突発」「外来」の事故や災害による物の損害(建物、家財、設備など)で発生した被害金額または損害金額が、保険金として支払われる保険です。

保険は「一人は万人のために、万人は一人のために」という相互扶助の精神により成り立っており、損害保険も同様です。日常生活を送る個人や企業に対して補償機能を提供し、リスクに対する経済的損失の恐れを減らすことで経済社会を安定・活性化させる役割を果たしています。

損害保険の3つの特徴

損害保険の大きな特徴は下記3つです。

  1. 補償は実損払い方式
  2. 保険期間は1年が基本
  3. 予測できない損害が補償対象

1.補償は実損払い方式

損害保険は、契約期間内に実際発生した損害額が保険金として支払われます。

あらかじめ契約した保険金額を上限とした損害額が支払われることになり、例えば保険金額の上限が100万円で実際の損害額が50万円だった場合、その実損の全額である50万円が保険会社から支払われます。同じく上限が100万円で損害額が120万円だった場合、100万円までの支払いとなります。

2.保険期間は1年が基本

生命保険のように保険期間が一生涯という商品は、損害保険では少なく、1年の保険期間が基本です。補償を継続したい場合には、契約の更新をする必要があります。※火災・自動車・傷害保険など、複数年契約できる保険も存在する。

3.予測できない損害が補償対象

損害保険の補償対象になるのは、「偶然」「急激」「突発」「外来」によって生じた損害のみです。よって、経年劣化によって生じた損害は、基本的に補償対象外です。

 

  • 偶然:事故の発生や結果の発生、またはどちらの発生も偶然である場合(例:荷物を持ち上げた際に、腰を痛めた場合など)
  • 急激:事故が突発的、被害の発生までに時間的な隔たりがない、自己の発生が予期できないもの(例:交通事故により被害を受けた場合など)
  • 外来:怪我の原因が被保険者の身体外からの影響によるもの(熱中症や車酔いは該当しない)
  • 経年劣化:時間とともに品質が劣化すること(例:長期間使い続けたことによる床のすり減りなど)

損害保険と生命保険の違い

両者ともに不測の事態が起きたときの経済的な負担をカバーする保険ですが、保険の性質が異なるため、それぞれの違いを理解すると良いでしょう。

1.実損払いと定額払い

損害保険の多くは、事故や災害などで生じた損害や、損害の復旧にかかった費用のうち、保険会社が認めた損失分が契約している保険金額の範囲で支払われる「実損払い」です。一方、生命保険は、契約時に設定した金額が支払われる「定額払い」です。

2.補償と保障

保険金の支払いを損害保険では「補償」と称する一方、生命保険では「保障」が使用されています。

読み方は同じ「ほしょう」ですが「補償」には、“損害を金銭などで補って償う”という意味合いがあり、「保障」には、“ある状態が損なわれないよう保護する”などの意味合いがあります。

3.重複契約について

生命保険は、例えば医療保険を2つ契約していたら、支払い事由に該当した場合にその2つの医療保険からそれぞれ給付金・保険金が支払われます。

しかし損害保険は損害額までしか保険金は支払われないため、同じ種類の保険に複数加入しても、実際の被害額以上の金額を受け取ることはできません。なお保険の種類が異なっていたとしても、含まれる補償内容によって、重複する可能性があるため注意が必要です。

重複しているかどうかは、保険の内容が記されている「保険証券」で確認できます。

損害保険の種類と加入目的、補償内容を解説

日常生活においては偶然に起こるリスクが様々なため、損害保険の種類は豊富です。

ここからは、損害保険のなかでも代表的な下記の5種類について、加入目的と補償内容を解説していきます。

  1. 自動車保険(任意保険)
  2. 火災保険
  3. 地震保険
  4. 傷害保険
  5. 個人賠償責任保険

1.自動車保険(任意保険)

自動車事故による様々な損害を補償する目的で加入するのが自動車保険です。基本的に、自動車購入時、自賠責保険に加入した際に案内されることが多いです。

自動車購入時に加入が義務づけられているのが自賠責保険であり、自賠責保険では補償されない部分を補償するのが自動車保険(任意保険)です。

主な補償は次の4つです。

 

  • 対人賠償責任保険:相手を死傷させ、法律上の損害賠償責任が生じた場合に自賠責保険の補償額を超える部分に対して保険金が支払われます。
  • 対物賠償責任保険:相手の自動車や建物などの財物を壊した損害に対して、法律上の賠償責任を負った場合に保険金が支払われます。
  • 人身傷害保険・搭乗者傷害保険:自分や搭乗中の人が死傷した場合に保険金が支払われます。
  • 車両保険:車が事故で破損した場合に保険金が支払われます。補償内容は各保険会社の商品により異なりますが、一般的な車両保険と補償範囲を限定して保険料を抑えたタイプがあります。

2.火災保険

火災や破裂・爆発、落雷、風災などの自然災害により、建物や建物にある家財などの損害が補償される保険です。 主な補償内容は下記の通りです。

 

  • 火災:自宅からの出火や隣の家の火事からの延焼
  • 落雷:自宅に雷が落ちたことによる、家屋の破損
  • 風災:台風や暴風による損害(台風による飛来物が原因での家屋破損も含む)
  • 水災:洪水が原因の浸水による損傷
  • 雹災:雹(ひょう)が降ったことよる家屋への損害
  • 雪災:積雪の重みが原因の家屋損壊や雪崩(なだれ)での家屋損壊
  • 水濡れ:給排水管の故障が原因の漏水
  • 物体の落下、衝突、騒擾:不注意による家屋破損

加入のタイミングとして多いのは家を購入した際や、引っ越しをしたときです。契約にあたり、保険の対象の価額を正しく評価し、建物・家財ごとに適切な保険金額を設定する必要があります。

3.地震保険

地震保険は、単独で契約することはできず、主契約である火災保険に付帯して契約する必要があります。

火災保険では対象外となる、地震・噴火またはこれらによる津波による損害まで補償されます。具体的に建物または家財が「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の損害を被った場合は、それぞれの損害の程度に応じて保険金をもらうことができます。

実損払いでないのは、地震保険の目的が地震保険に関する法律に基づき「被災者の生活の安定に寄与すること」であり、損害の補償を重視していないためです。巨額の保険金の支払いに備えて、政府が再保険を引き受ける仕組みとなっており、政府と損害保険会社が共同で運営する公共性の高い保険です。

4.傷害保険

保険会社によっては「ケガの保険」と呼ばれることもある、傷害保険。

「急激かつ偶然な外来の事故」により傷害を被った結果、入院や通院・死亡・後遺障害になった場合に対応するために加入する場合がほとんどです。

傷害保険は補償内容と被保険者の範囲によって、いくつか種類があります。「ゴルフ保険」や「旅行保険」「レクリエーション保険」はこの傷害保険のカテゴリに含まれます。

5.個人賠償責任保険

「飼い犬が他人にケガをさせた」「自転車走行中に歩行者とぶつかりケガを負わせた」「買い物中にお店の商品を落とし破損させた」など、日常生活で誤って他人にケガを負わせるほか、物を壊すなど法律上の損害賠償責任を負担する事態に備えるために加入します。

火災保険や自動車保険、傷害保険の特約として加入できることが多く、被保険者の範囲は一般的に、本人以外にも、その家族(配偶者・同居の親族・別居の未婚の子)が対象になります。

個人賠償責任保険は、月額100円~150円程と少額な保険料で、日常生活における損害賠償責任を補償する心強い保険です。

しかし損害賠償責任を負担する事態が生じた際、保険会社に連絡をすることなく、被害者と賠償の約束を交わしてしまうと、これが原因で保険金が支払われない場合があるため、勝手な約束はしないことが重要です。

損害保険の請求方法について

事故が起こり保険金を請求する際は、どの損害保険でも基本的に事故発生後すぐに保険会社へ連絡しましょう。

保険金請求は3年の時効が設けられていますが、事故後すぐに保険会社へ連絡することにより、以下のような事故後の流れや必要事項について指示を貰うことができます。

 

  • 損害状況をスマートフォンのカメラなどで撮影する
  • 相手がいる場合でも、勝手に交渉を進めない

適切な処理をしなかった場合は、保険金が支払われないこともあるため、事故が発生した後はなるべく早く保険会社へ連絡するようにしましょう。

まとめ

損害保険は、「モノに関する偶発事故に対し損害を補償する保険」です。日常生活では偶然に発生するリスクが様々存在するため、損害保険の種類は自動車保険や火災保険など豊富にあります。

例えば火災保険は居住地域や住居形態でも必要な補償範囲が変わるため、十分に精査したうえでの加入がおすすめです。

このように保険によって補償内容は異なるため、しっかりと把握した上で、自分にあった保険に加入しましょう。