【コラム】保険はどこで入る?それぞれの特徴とメリット・デメリットを解説
以前まで、保険は営業職員を通して契約することが一般的でしたが、今はそれだけでなく保険ショップや郵便局、銀行、インターネットなど様々な加入経路があります。
この記事では、保険の様々な加入経路とそれぞれのメリット・デメリットについて解説します。
生命保険の世代別加入率は?
それぞれの加入経路を説明する前に、保険の加入率をご紹介しましょう。特に、病気やケガ、死亡など万が一のことがあった時のために加入を考える方が多い、生命保険に焦点を当ててみます。
公益財団法人生命保険文化センターの2021年(令和3年)度「生命保険に関する全国実態調査」によると、生命保険の世帯加入率は89.8%です。
次に2021年の世帯主年齢別の加入率をみてみましょう。(※1)
年齢別加入率
29歳以下 | 30〜34歳 | 35〜39歳 | 40〜44歳 | 45〜49歳 | 50〜54歳 | 55〜59歳 | 60〜64歳 | 65〜69歳 | 70~74歳 | 75~79歳 | 80~84歳 | 85~89歳 | 90歳以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
70.2% | 90.7% | 89.4% | 93.2% | 94.0% | 93.0% | 94.8% | 92.4% | 93.8% | 88.2% | 85.0% | 80.2% | 67.5% | 52.2% |
上記データによれば、ライフステージの変化が激しくなる30代から加入率が高くなっていることが分かります。
80代以降の加入率が下がるのは、保障期間を80代までと制限している商品があることも関係していると考えられるでしょう。
保険はどこで加入できるの?加入経路とそれぞれの特徴を解説
「どこで保険に加入するか」ということは、自分に合った保険に加入するための大切なポイントの1つです。
保険の主要な加入経路とそれぞれの特徴をみていきましょう。
1.保険会社の営業職員
顧客の自宅や職場を訪問する他、友人や家族の紹介を通じて直接顧客と会い、自社の保険商品を販売するのが保険会社の営業職員です。
一社専属のため当然自社の商品に詳しく、契約手続きから保険加入後の給付金請求、プランの見直しなどのアフターフォローまで行ってくれます。
2.保険代理店
一社専属の保険代理店と複数の保険会社を取り扱っている乗合保険代理店があります。
保険代理店には、自宅や指定したカフェなどに担当者が来てくれる訪問型と、ショッピングセンターや駅の近くに店舗を構えている来店型があるため、自身の都合や環境に合わせてどちらかを選ぶことができます。
また、FP資格を持った職員が相談や商品説明を行うことが多く、店舗によっては教育資金や住宅資金、老後資金など、保険に関わらず幅広いお金の悩みについて相談することができます。
3.インターネット
ネット保険とも言われるインターネット上での保険の通信販売では、営業職員がおらず、インターネット上で保険料の試算から契約・給付金請求まで全て手続きができます。
保障内容は、一人でも手続きしやすいシンプルな内容であることが多いのが特徴です。保険の選び方や保障内容、保険料などに関して不明点があれば、コールセンターやメール、チャットなどで質問できます。
4.銀行
銀行でも保険に加入することができます。
銀行により異なりますが、生命保険、医療保険、がん保険、介護保険などを扱っているほか、年金保険や学資保険などの貯蓄型の保険や、外貨建て保険、一時払いの保険、変額保険など投資型の保険にも力を入れています。
5.郵便局
郵政民営化法に基づき、2006年9月に株式会社かんぽ(かんぽ生命)が設立され、郵便局でも保険に加入することができるようになりました。
かんぽ生命では、病気やケガ、死亡など万が一のための商品から、学資や年金など将来に備える商品まで、ライフイベントの変化に備えられる商品を一通り取り揃えています。
また郵便局では、かんぽ生命以外の生命保険商品も取り扱っています。
加入経路それぞれのメリット・デメリットはあるの?
加入経路により、紹介される保険商品は異なります。
契約してから「やはり別のところで加入すれば良かった」と後悔しないように、それぞれのメリット・デメリットを把握しておきましょう。
1.保険会社の営業職員
保険会社の営業職員は、自社の商品を販売しているため、契約だけでなくその後の住所変更や名義変更、給付金の手続きなどのアフターフォローまで行ってくれる点は大きなメリットでしょう。
ただ、他社商品との比較説明は受けづらいため、比較したい場合は自分で調べる必要があります。
保険会社の営業職員は、自身がすでに加入したい商品が決まっていて、アフターフォローまでしっかりとお願いしたいと考えている方に向いている加入経路といえるでしょう。
2.保険代理店
複数の保険会社の商品を自身で比較検討する場合、かなりの時間と労力を要することとなります。
この点、複数の保険会社の商品を取り扱う「保険乗合代理店」を利用すれば、自身のニーズを基に簡単に情報収集ができ、また、1社の商品に偏ることなく客観的なアドバイスを受けられるため、多くの保険商品を効率よく比較することができます。
ただし、代理店によって取扱商品数が異なるため、取扱商品の内容を自身である程度確かめてから選びましょう
また、保険乗合代理店を利用した場合、複数の保険会社の保険商品を一度に契約することもあるかと思います。その場合、どの保険会社と契約したか忘れないように自身で管理する必要があるでしょう。
3.インターネット
ネット保険は、保険会社からすると営業に関する人件費や店舗関連の費用などのコストがカットできるため、割安な保険料が設定されていることが多いです。
また、インターネット環境さえあれば、スマホやPCでどこでも好きな時に加入できることも魅力的です。
ただし、商品選びから手続きまで全て自分一人で行う必要があるため、この点はデメリットといえるでしょう。
重要事項説明書の内容をよく理解せずに契約してしまう、告知内容を誤ってしまうなどし、後になって給付金が下りなかったり、契約解除になったりする場合もあるため、保険について知識がない方にとってはリスクが高いかもしれません。
4.銀行
銀行も保険乗合代理店と同様、複数の保険会社を取り扱っているため、自身のニーズを基に保険商品を比較検討できる点がメリットでしょう。
また、貯蓄性のある保険商品を多く取り扱っている傾向があるため、教育資金や老後資金など将来に向けて役立つ保険商品を探している方にとっては魅力的な加入経路でしょう。
ただ、銀行が取り扱っているからといって、外貨建て保険や変額保険はリスクがない商品ではありません。自身でも商品の理解を深める努力が必要です。
5.郵便局
身近にある郵便局(またはかんぽ生命支店)窓口で保険についての相談ができ、加入することができるのが大きなメリットです。
また、保険料の案内などの一般的な相談は、かんぽコールセンターでも行うことができます。ただし、基本的にかんぽ生命をメインに取り扱っているため、他社商品と比べたい場合は自分で比較する必要があります。
加入経路から分かる!保険加入時に求めること
公益財団法人生命保険文化センターの2021年(令和3年)度「生命保険に関する全国実態調査」によると、直近で生命保険に契約した加入経路の上位5項目は以下の通りです。(※2)
- 生命保険会社の営業職員…55.9%
- 保険代理店の窓口や営業職員…15.3%
- 通信販売…6.4%(内、インターネットは4.0%)
- 銀行・証券会社…6.2%
- 生命保険会社の窓口…3.2%
上記データによれば、加入経路で一番多いのは55.9%の保険会社の営業職員であることが分かります。保険代理店やインターネット通信販売はTVCMなどにより認知が広がってきていますが、それでもまだまだ全国で展開している生命保険会社の営業職員の数には届きません。
しかし、今後保険に加入する場合における加入経路の検討に関する調査では、以下のデータが出ています。上位5項目は以下の通りです。
- 生命保険会社の営業職員…27.5%
- 通信販売…21.9%(内、インターネットは17.4%)
- 保険代理店の窓口や営業職員…12.3%
- 勤め先や労働組合等…8.5%
- 生命保険会社の窓口…7.3%
上記のデータを確認すると、自分で考えて自分のタイミングで加入できるインターネット通信販売を考えている方も多いことが分かります。(※3)
また、直近加入契約(民保)の加入チャネルに対する満足度に関する調査結果は以下の通りです。
- 手間がかからない…31.0%
- 相談に迅速に対応してくれる…30.3%
- 保障内容の説明や手続きの対応が良い…28.4%
- 定期的な訪問がある…24.7%
- 商品知識や保障見直しの提案力が良い…22.3%
- マナー・態度が良い…18.8%
- 生命保険や他の金融商品に関する情報提供がある…8.5%
- サービス品の提供やイベント招待がある…2.9%
- その他…2.0%
- 特に満足している点はない…12.0%
- 不明…0.6%
上記データによれば、保険契約時に、手間がかからない点や迅速に相談できる点を魅力に感じている方が多いことが分かります。 (※4)
まとめ
保険はどの加入経路で契約するにしても、契約する前にその保険の内容を自分自身がきちんと理解することがとても大切です。
対面で相談に乗ってもらうと安心感を得られる、という方もいれば、オンライン面談やチャット、SNSなどを活用して手軽に相談できることに利点を感じる方もいると思います。それぞれの加入経路の特徴を踏まえて、どこで保険に入るのかを決めてみてはいかがでしょうか。
※1出典…「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査 生命保険(個人年金保険を含む)の加入状況」(公益社団法人生命保険文化センター)
※2,4出典…「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査 直近加入の生命保険(個人年金保険を含む)」(公益社団法人生命保険文化センター)
※3出典…「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査 生命保険(個人年金保険を含む)の今後の加入に対する意向」(公益社団法人生命保険文化センター)