【コラム】住宅ローンのつなぎ融資とは?仕組みや利用の注意点、金利や手数料についてご紹介
マイホーム購入にあたって、ご自身やご家族の希望をできるだけ叶えたい場合に、よく選ばれるのが注文住宅です。注文住宅の購入に際しては、「つなぎ融資」が利用されるケースが多いです。では一体、このつなぎ融資とはどういった融資を指すのでしょうか?
本記事では、つなぎ融資の仕組みや特徴、利用時の注意点、金利や手数料、分割融資との違いについて解説します。利用時の参考にしてください。
つなぎ融資の仕組み
注文住宅でマイホームを購入される場合、建築費だけでなく、土地の購入費や工事開始前の着工金など、諸々の費用が必要となります。
「住宅ローンを利用すれば良いのでは」と考えている方も多いですが、住宅ローンの借入は、完成した住宅が買い主に引き渡された時に実行されるものです。よって、住宅が完成する前までに必要な資金については、住宅ローン以外の方法で準備しておく必要があります。
こうした場合に、一時的に住宅購入のための資金を立て替えるための融資が「つなぎ融資」です。
つなぎ融資が必要となるケース
つなぎ融資は主に注文住宅を購入する場合に利用されます。一般的につなぎ融資が必要となる費用は、以下のとおりです。
- 土地を購入するための費用
- 工事開始前に建築会社に支払う着工金
- 工事途中で建築会社に支払う中間金
上記のような費用は高額で、ご自身の手持ち資金ではまかなえないケースがあります。しかし、つなぎ融資を活用できれば、自己資金が十分でなくとも、こうした高額な支出をカバーすることができます。
つなぎ融資は住宅ローンで完済する
住宅が完成し、その引き渡しを受けた後は住宅ローンが開始されます。住宅ローンはつなぎ融資の支払に充てられるため、住宅ローンでつなぎ融資を完済することができます。
つなぎ融資は金利が高い
住宅ローンの実行前にまとまった資金の融資が受けられるつなぎ融資ですが、住宅ローンと比較して金利が高く設定される傾向にあります。
- 住宅ローンの金利→0.5%~2%程度
- つなぎ融資の金利→2~4%程度
いずれも金融機関によって金利は異なります。また、金利以外にも手数料や印紙代などの支出も発生します。想定以上の支出となってしまう場合があるため、かかる金額は事前に丁寧に確認しておくことが大切です。
つなぎ融資の流れ
住宅購入を決め、つなぎ融資を利用する場合の一般的な流れを説明します。
1.資金計画と情報収集
注文住宅の購入にあたって、どのような費用がいつ必要になるのか事前に確認し、資金計画を立てましょう。
自己資金で費用をまかなえない場合につなぎ融資を利用することになりますが、つなぎ融資の利用条件を事前に情報収集しておくことが大切です。
2.つなぎ融資の申し込みと審査
住みたい場所(購入したい土地)が決まったら、ハウスメーカーや工務店との打ち合わせを進めます。工事請負契約を締結し、金融機関へ住宅ローンの申し込みと併せてつなぎ融資の申し込みも合わせて行いましょう。
住宅ローンとつなぎ融資両方の審査がおりたら、売主と土地の売買契約を締結します。
3.つなぎ融資の実行
金融機関とつなぎ融資の金銭消費貸借契約を締結します。土地の購入資金としてつなぎ融資を利用する場合は、この時点で1回目の融資が行われ、土地代金を支払います。
その後、工事請負契約書にもとづき建築会社に着工金や中間金を支払う場合も、つなぎ融資を利用して資金を準備し支払いを行います。
4.住宅ローンでつなぎ融資を完済する
住宅が完成し、建物の引き渡しを受けると、住宅ローンによる融資が実行されます。その融資額を使って、つなぎ融資を一括で返済します。
つなぎ融資を利用する時の注意点
つなぎ融資を利用する時に注意しておきたいポイントとして、以下の5点があげられます。
1,住宅ローンよりも支出負担が大きい
上述したように、つなぎ融資の金利は住宅ローンの金利よりも高い傾向にあります。つなぎ融資の借入負担を減らす意味でも、土地の購入資金や着工金に手持ちの現金をあてるなど、計画的な借入を行いましょう。
また、つなぎ融資には事務手数料や印紙代がかかります。加えて団体信用生命保険の保険料がかかる場合もあります。この諸経費についても資金計画に入れておくことが大切です。
2,借入額や借入回数に限度がある
つなぎ融資の借入額は、「上限〇万円」や「住宅ローン借入額と同額」などと決められている金融機関があります。
また、土地購入費用や着工金など複数回数に分割してつなぎ融資を利用する場合は、金融機関によっては借入回数や1回あたりの借入上限額が定められている場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
3,完成が遅れると支払利息が増える
つなぎ融資の融資期間は最長1年程度で設定されていることが多く、融資期間に応じて日割りで利息がかかります。
天候の影響や不測の事態によって工事や住宅の引き渡しが遅れると融資期間も延長されることになり、利息や手数料などの諸経費の負担が増える可能性があります。
4,つなぎ融資は住宅ローンの承認を得ていることが前提
つなぎ融資は、それだけを単体で利用することはできません。つなぎ融資を受けるためには、同時に住宅ローンの審査を受け承認を得ることが前提となります。
つなぎ融資は住宅ローンを利用する金融機関で申し込むのが一般的ですが、つなぎ融資を取り扱っていない金融機関もあるため注意が必要です。
5,住宅ローン控除が受けられない
つなぎ融資は、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)適用の対象外です。住宅ローン控除を受けるための条件として「住宅の新築等の日から6か月以内に居住の用に供していること」とあり、完成前に借り入れるつなぎ融資は対象外となります。
つなぎ融資と分割融資との違い
住宅ローン実行前に土地代や着工金の支払いに利用できる融資制度として、つなぎ融資以外の方法に「分割融資」があります。つなぎ融資との違いについて解説します。
分割融資とは?
通常の住宅ローンでは、建物が引き渡された際にはじめて融資が実行されます。
この点、建物の引き渡し前であっても、一定期間内に住宅を建築するという条件のもと、土地購入や工事着工金などの支払が必要になる都度、土地を担保に住宅ローンの先行融資を受けられる融資制度が、分割融資です。
つなぎ融資との違いと注意点
分割融資は住宅ローン借入金額の一部を先行して受け取るという制度であるため、高金利のつなぎ融資と異なり、住宅ローンの金利で融資を受けることができます。
ただし、分割融資はつなぎ融資と比べて利用できる金融機関が限られています。また、金融機関にとって建物完成前に融資をするというリスクがあるため、融資にあたり頭金が必要など、審査が厳しい点もデメリットとしてあげられます。
分割回数にも限りがあり、また都度手数料がかかる場合もあるため、分割融資の利用を検討する際は取り扱い金融機関に確認しましょう。
まとめ
注文住宅で憧れのマイホームの夢を実現させるには、土地の購入資金や工事の着工金など、建売住宅のケースよりも多くの資金が早い段階から必要になります。手持ち資金が不安でも、つなぎ融資の制度を上手く活用すれば、その夢を叶えることができるでしょう。
しかし、つなぎ融資にも金利や手数料などの負担がかかります。事前にしっかりと情報を収集し、計画的に利用するようにしましょう。