【コラム】転職活動にかかる期間やお金について調査!退職しても保育園には通える?
日々働くなかで転職を考えたことがある方は多いかもしれません。実際に転職活動を経験した方の中には、転職活動を行うためにはある程度の時間と貯蓄が必要だと感じた方もいるのではないでしょうか。
今回は、転職活動にかかる期間や貯蓄額、手当てに加えて、子どものいる方が気になる転職活動中の保育園事情もお伝えします。
転職活動の平均期間は?
転職活動は、主に「応募→書類選考→面接→内定」といった流れで進みます。
厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」によると、在職中に転職活動を行った方は転職活動を開始してから1ヶ月以上3ヶ月未満で退職に至った方が28.8%と一番多く、1ヶ月未満が18.3%、3ヶ月以上6ヶ月未満が15.7%となっています。
この調査結果は、転職活動をしてから退職するまでの期間であるため「内定」までの期間ではありません。引継ぎなどに時間がかかった場合、この期間も含まれていることになります。(※1)
転職活動は仕事と並行して行うべき?メリットとデメリットとは?
転職活動は今の仕事を続けながら行う方法と、今の仕事をやめて行う方法の2つがあります。在職中に転職活動を行うメリットは、以下のとおりです。
- 転職活動中、収入が途切れる心配がない
- 納得する転職先が決まらなければ転職しないという選択ができる
一方デメリットにはこのようなものがあります。
- 転職活動に使える時間が限られる
- 内定から転職先での勤務開始まで時間がかかる
内定から勤務開始までに時間がかかる理由は、退職の意向を伝えてから退職までに一定期間かかるためです。
民法第627条では、退職の意向を伝えてから2週間で退職できるとありますが、企業のなかには就業規則で退職は1ヶ月前や2ヶ月前に申告しなければならないと定めている場合もあるため、よく確認しておく必要があります。(※2)
退職を申告してから退職までの期間では、通常業務をしながら後任者への引き継ぎを行う他、残った有給休暇を取得する方もいます。円満退社をするためにも、内定から退職まで2ヶ月程度はかかると想定しておくと安心です。
退職後に転職活動をするのはリスクが高い?メリットとデメリットとは?
一度退職してから改めて転職活動をしたい方もいるでしょう。それにはメリットも多くありますが、デメリットやリスクがあることを忘れてはなりません。
下記2点がメリットに挙げられます。大きなメリットを挙げるなら、使える時間の多さでしょう。
- 転職活動に使える時間が多く集中できる
- 内定後すぐに働ける
一方大きなデメリットとしては、収入が途絶えることでしょう。デメリットをまとめると、以下の3点です。
- 収入が一時的に途絶える
- 焦りから転職先を妥協してしまうリスクがある
- 保育園を利用している場合退園になる可能性がある
収入が途絶えた結果、金銭面の焦りや不安から転職の目的を見失ってしまう可能性があるため、ある程度の余裕を作ってから退職すると安心です。
また、共働き家庭で子どもが保育園に通っている場合、場合によっては退園になる可能性があるため、少々リスクが高いかもしれません。
転職先が決まる前に仕事を辞めた場合、保育園はどうなる?
認可保育園へ入園するには「保育の必要性の認定」を受けなくてはなりません。
「保育の必要性の認定」とは、保護者が就労や妊娠、療養中など「保育に欠ける」状態であることを自治体に証明し、認定を受けるということです。
前職で就労状態にある間は「就労証明」によって保育園へ通えていましたが、退職してしまった場合には状況が変わるため、そのまま通っていると不正と見なされて退園になってしまう可能性があります。
ただし、保育の必要性には「求職中」という項目もあるため、申請さえすれば継続して通うことができます。自治体によって期間は様々ですが、おおむね1ヶ月から3ヶ月間は就労状態になくても通わせることが可能なことが多いです。
その期間中は、求職活動の状況を報告するための求職証明書が必要です。
注意点としては、自治体が定めた期間中に転職ができなかった場合、退園の可能性が大いにあるということです。
退職後に転職活動をする場合、どのくらいの貯蓄があると安心?
退職後に転職活動をする場合は、上記で紹介した転職活動自体にかかる費用の他に「生活費」や「税金の支払い」なども準備しておく必要があります。
- 家賃・生活にかかるお金
- 住民税・健康保険・年金
1.家賃・生活にかかるお金
2021年度の家計調査によると、2人以上の世帯の月間平均消費支出は約28万円です。(※3)
しかしこれはあくまで平均ですので、自身の生活費がどのくらい必要なのか、食費・光熱費・通信費・車のローン・保険料・交際費など、日頃から家計簿などで家庭の収支を把握しておくことをおすすめします。
なお失業期間では、雇用保険の基本手当を受給できますが、手当が自分の手元にくるまでは4ヶ月程度かかることがほとんどです。つまり4ヶ月間は収入が途絶える可能性があるため、最低でも前職収入の4ヶ月分の貯蓄があると好ましいでしょう。ただ前職収入の全額が手当として支給されるわけではないため、精神的余裕を保ちたいのであれば、前職収入の6ヶ月分以上の貯蓄は必要であると考えられています。
2.住民税・健康保険・年金
退職後に支払わなければならないものは、家賃や生活費の他に「住民税」「国民年金保険」「国民健康保険」などがあります。これらの金額は前年度の収入によって決まるため、在職時と同等程度の金額を支払う必要があります。
結婚していて、転職までにしばらく時間がかかりそうな場合は、パートナーの扶養に入るという選択をしても良いでしょう。
失業手当と申請方法
ここからは、失業手当の申請方法と注意点をお伝えしていきます。
失業手当とは
一定期間雇用保険に加入している方が、退職した後、再就職するまでの生活費等を補うために受け取れる手当が失業手当です。社会保険制度の一つとして位置づけられています。
解雇などの会社都合による離職はもちろんのこと、転職や家庭の事情などといった自己都合退職でも、条件を満たせば失業手当の給付対象となります。
失業手当の申請方法とスケジュール
平日の所定時間内に、自身の住所を所管するハローワークで手続きを行います。転職活動を理由に自己都合で退社した場合、失業手当受給までのおおまかなスケジュールは下記のとおりです。
- ハローワークで求職の申し込みと雇用保険被保険者離職票の提出
- 雇用保険受給者初回説明会へ参加
- 第1回失業認定日決定
<4週間>給付制限(原則2回以上の求職活動) - 第2回失業認定日
<4週間>給付制限(原則2回以上の求職活動) - 第3回失業認定日
<5営業日> - 受給
以降も、4週間ごとにハローワークへ出向き失業状態と求職活動実績を申告する必要があります。求職活動とは、具体的かつ積極的な求職活動を指し、失業認定から次の認定日までに原則2回以上の実績が必要です。
失業手当の他に、早期に就職が決まると「再就職手当」も受け取れます。他にはどんな制度があるのかを調べ、自身に当てはまる制度があればハローワークへ申請をしましょう。
失業手当の注意点
失業手当の給付対象者は、在職中2年間のなかで12ヶ月以上の被保険者期間がある「失業した方」です。失業者とは「離職し就職したいという積極的な意思」と「いつでも就職できる能力があるが積極的に求職活動をしているにも関わらず就職できない状態にある方」のことを指します。
よって、被保険者期間が足りない方や、家事育児や家業に専念するために退職をした場合は失業手当の対象になりません。
また出産やケガ、病気などすぐに働くことができない場合にも失業手当の対象になりません。
失業手当を受けることができる期間(受給期間)は限られていますが、特別な理由がある場合は受給期間の延長申請をすることも可能となりますので、こういった対応が可能かどうか、確認してみましょう。
なお新型コロナウィルスの影響による自己都合離職の場合は、正当な理由のある自己都合離職として給付制限を受けずに受給できるようになりました。詳しくはハローワークにてご確認ください。
まとめ
転職活動を始めてから退職するまでの期間は1〜3ヶ月程度かかることが多いです。少しでも安心して転職活動期間を過ごすためにも、一般的にかかるとされる時間を想定して費用の準備をしておくことが重要です。
転職を考えたときには、この記事を参考にしながら支出の見直しや転職活動の準備を始めてみてはいかがでしょうか。