【コラム】副業している人はどのくらいいる?副業をする際の注意点やメリットもご紹介
将来への不安から「もっと収入を増やしたい」とお考えの方、あるいは「趣味や特技を活かしたい」「空き時間を有効活用したい」とお考えの方はいらっしゃいませんか?本記事ではそんな方々へ副業についてご紹介いたします。
実際、副業はしたいがどう行動すれば良いかわからない、とお悩みの方もいらっしゃると思います。本記事では副業の実態とおすすめの副業、副業を行う際の注意点についても解説いたしますので是非ご参考になさってください。
政府による副業の推進
もともと、副業・兼業自体について法的な規制はありませんでしたが、厚生労働省が平成29年12月時点で示しているモデル就業規則では、労働者の遵守事項に「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定がありました。 しかし、働き方改革の推進に伴い、厚生労働省は2018年1月に「モデル就業規則」を改訂して当該規定を削除し、企業に対し副業・兼業の解禁を促進しています。(※1)
厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」にも「原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である」という記載があります。今や国をあげて、副業の普及促進を図っているといえます。(※2)
副業が推進されるようになった時代背景
厚生労働省による「副業・兼業に係る実態把握の内容等について」の調査結果を見ると、全ての就業形態で3割以上の対象者が「収入を増やしたいから」という理由で副業を行っています。(※3)
副業解禁の背景には、老後の生活にお金が足りない、いわゆる「老後貧乏」の高齢者の増加があります。国の財政赤字により、高齢化に伴う医療費や介護費用の増加は今後ますます深刻化していきます。
また、老後生活の頼みの綱である公的年金も、今後は受給年齢が引き上げられる可能性があり、不安要素は年々高まっています。こういった不安要素を解消するために、副業が解禁され始めているといえます。
会社は副業を禁止できる?
原則として、会社は従業員の副業を禁止することはできません。就業時間以外の時間は個人が自由に使うことが前提となっており、個人のプライベートな時間を就業規則で制約することは法律上認められていないためです。
しかし、副業が身体的・精神的に負担となり本業へ支障をきたしてしまう場合、情報漏えいの危険がある場合、本業のイメージダウンに繋がるような場合はその限りではありません。(※4)
副業のメリット・デメリット
副業のメリットとしては、収入が増えること、本業以外のスキルが身に付くことなどが挙げられます。
収入が増えれば生活が豊かになり、心身的な充実にも繋がります。また、本業以外の知識や技術が身に付くことで、自身のキャリア形成や将来の展望に良い影響を与えてくれるでしょう。
その反面、デメリットとしては前述の通り、本業の就業時間外を他の業務に充てるため、休息時間が減り、体調の悪化やストレス増加に繋がってしまうおそれがあることや、本業の機密漏えいなどのリスクが挙げられます。(※5)
副業の実態とその理由
副業を行っている方は、いったいどの程度存在するのでしょうか。また、どのような理由で副業を行っているのでしょうか。厚生労働省の調査をもとに、副業の実態とその理由について見ていきましょう。
副業をしている人の割合は9.4%
株式会社リクルートが実施した「兼業・副業に関する動向調査(2021年)」によると、雇用形態が正社員の人のうち、副業を行っている人の割合は9.4%という結果でした。
内訳は以下のとおりです。
- 兼業、副業実施中:9.4%
- 今後の実施意向あり/過去に兼業、副業経験あり:5.6%
- 今後の実施意向あり/過去に兼業、副業経験なし:40.9%
- 今後の実施意向なし/過去に兼業、副業経験あり:3.2%
- 今後の実施意向なし/過去に兼業、副業経験なし:40.9%
現在副業実施中の人も含め、今後の実施意向がある人の割合は合計で55.9%と過半数を占めます。このことから、多くの人が副業に関心を持っていることが分かります。(※6)
副業の理由は「収入を増やしたい」が多い
副業をしている理由は、「収入を増やしたいから」「1つの仕事だけでは収入が少なすぎて、生活自体ができないから」といった、収入に関する回答が大半を占める結果でした。
その他の理由としては、「自分で活躍できる場を広げたいから」「時間にゆとりがあるから」といった回答があります。
これらの回答について、実労働時間が長い方ほど収入に関する意向が強く、また短い方ほど時間の有効活用や人脈づくりに関する意向が強い傾向が見られます。(※7)
副業が会社に発覚する原因
副業解禁といっても、まだまだ風当たりは厳しい状況で、「副業は認めない」といった社風も存在します。そんな中で、会社に見つからないように副業をしたいと考えている人も多いでしょう。
しかし会社に内緒にしていても、副業をしていることが発覚してしまうことがあります。
副業が発覚してしまう原因については、以下の3点が挙げられます。
- 副業をしているところを会社の他の人に見つかってしまった
- 副業で働きすぎて体調を崩し、本業を休職することになってしまった
- 本業の給与所得で算出される金額以上の住民税が追加徴収されることになり、副業収入の存在が発覚してしまった
副業を認めていない企業の中には、副業をしていることが発覚すると何らかの懲戒処分が発生する場合もあるため、副業を始める前に確認が必要です。
会社に発覚するかもしれないと不安を持ちながら内緒で副業を行うのではなく、しっかり会社の規則を確認した上で、安心して長く続けられる副業を選択するようにしましょう。
スキマ時間で取り組めるおすすめの副業サイト5選
副業というと、本業とは別の会社に勤務する、いわゆる「Wワーク」をイメージする方も多いでしょう。ひとえに「副業」といっても、今はインターネットを使用し、スキマ時間を使って在宅で気軽にできる副業も多いです。
ここでは在宅で安心して取り組める副業を探せる、おすすめのサイトをご紹介します。
クラウドワークス
データ整理やライティングなど、200種類以上の豊富なカテゴリーから、自分が取り組める仕事を選択することができるクラウドソーシングサイトです。未経験からでも取り組める仕事も多く集まっています。
業種や報酬額など、自分好みの仕事を自由に選択することができ、自分の生活スタイルに合った副業に取り組むことができます。
シュフティ
主婦が取り組みやすい在宅ワーク案件を豊富に揃えているクラウドソーシングサイトです。スキルや経験がなくても取り組みやすい、初心者や未経験者歓迎の仕事が多いため、初めての副業にもおすすめです。
スキマ時間で作業ができるデータ入力やアンケート入力などは、家事や育児で忙しい主婦にとっても取り組みやすいでしょう。
ココナラ
自分が持っているスキルを販売するサービスです。動画制作や記事作成、家計相談やコンサルティングなど、物品の提供を伴わない相談事なども、幅広く売ることが可能です。スキルを提供したい販売者と、それを利用したい購入者がマッチングすれば、サービスが開始されます。
空き時間を活用し、副業として取り組むのも有効ですが、本業を世の中に広めていくための切り口として、セルフブランディングの手段として活用する方も多いようです。
タイムチケット
自分や他人のスキマ時間を販売・購入できる時間のシェアリングエコノミーサービスです。その名のとおり、販売者は自分のスキルや経験をチケットに変えて販売する仕組みです。
購入者にとっても、必要とするスキルを必要な時間だけ、ピンポイントで安価で購入することができるため、便利に利用することができます。
BASE
自分だけのネットショップを開設することができる、無料のネットショップ開設サービスです。サイト制作に必要なサービスがパッケージ化されているため、未経験者でも簡単に始めることができます。
自分のサイトやBASEが提携しているイベントを通して、自分の商品をPRすることも可能です。
サンカク
他の企業の課題に参画し、自分のスキルを活かして企業の課題を解決するためのお手伝いを行う、社会人のためのインターンシップサービスです。
働きたい人と地方企業をつなぐマッチングによって、移住しなくても副業で地方企業へ貢献が可能になります。
会社員が副業を行う際の注意点
会社員が副業を行う場合は、その収入にかかる税金についても正しく理解しておく必要があります。ここからは会社員の副業に確定申告が必要なケースや、住民税の支払い方法について解説いたします。
副業は確定申告が必要
会社員の人でも、給与所得や退職所得以外の所得が年間で20万円を超えた場合は、確定申告を行う必要があります。
個人事業主の場合、事業主本人が確定申告を行うことで税務申告を行いますが、会社員の場合は、会社が本人に代わって税務申告を行っています。これを源泉徴収といい、会社員は給与から税金が天引きされた状態で支給されます。
副業によって収入を得る場合、副業の会社の給料からも源泉徴収で税金が天引きされます。しかし、副業の種類によっては源泉徴収ではなく自身で申告をしなければならないものもあります。この場合、収入から必要経費を差し引いた所得が年間20万円を超えていると、確定申告を行わなくてはならないのでご注意ください。(※8)
住民税の支払い方法に注意する
市区町村に支払う住民税は、本業の会社がまとめて払う「特別徴収」という納税方法が一般的です。しかし、副業収入がある場合は納税先の市区町村から、本業の給与所得で算出される金額以上の住民税が本業の会社に追加徴収されることになります。
確定申告の際には、住民税の支払い方法を特別徴収と普通徴収の2種類から選択することができます。
特別徴収は、勤務先の会社に住民税を請求する方法で、毎月の給与から分割徴収されます。それに対して普通徴収は、本人が直接納税する方法です。納税時に普通徴収を選ぶと、副業収入によって請求される住民税は本人に直接通知が届き、本人が一括で納税することになります。
まとめ
副業は収入を増やし生活を経済的に豊かにするだけでなく、本業以外の仕事に就くことで知識や経験の幅が広がり、人脈の構築や自身のスキルアップに繋がります。
しかし労働者の負荷や情報漏えいの観点から、副業に否定的な会社もまだまだ多いのが実態です。そのためトラブルにならないよう、会社の就業規則を確認した上で副業を始めることをおすすめします。
最初から「自分には無理」と諦めるのではなく、自分のライフスタイルに合った無理のない程度の副業に取り組むことで、人生をより豊かに充実させましょう。
※1出典:「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(厚生労働省)
※2,4,5出典:「副業・兼業に関するガイドライン」(厚生労働省)
※3出典:「副業・兼業に係る実態把握の内容等について(令和2年)」(厚生労働省)
※6出典:「兼業・副業に関する動向調査2021(株式会社リクルート)」
※7出典:「副業・兼業に係る実態把握の内容等について」(厚生労働省)
※8出典:国税庁ホームページ